「聖なる鹿殺し」ネタバレ感想と考察【洋画】

「聖なる鹿殺し」ネタバレ感想と考察

「聖なる鹿殺し」のネタバレ感想と個人的な解釈をつらつら。
題材になったらしいギリシャ神話にも触れてます。

タイトルにもある通り、がっつりネタバレしてます。

ネタバレいやだな〜って方はご注意。

ネタバレなしで感想だけ知りたい人は、「ざっくり感想」のところまでどうぞ。

そこまでならネタバレしてないです。安心安全。

目次

ざっくり感想

「聖なる鹿殺し」ネタバレ考察

この映画、ジャンルこそホラーだけど、ホラー苦手な私でも最後まで見れました。

だから、そこが気になってる人は多分大丈夫です。観れます。

ちなみにどの程度の苦手度かと言うと、「びっくり系・スプラッタは絶対無理」の程度。
バイオハザード無印のレーザーで黒人の人がミンチになるシーンは絶対に直視できない。

ざっくりと感想をまとめると

  • じわじわ恐怖心を煽ってくる系のホラー映画
  • 音響がこわいけど視覚的にはそんなに怖くない
  • 全体的にほの暗いお話

です。

じわじわ系ホラー映画

聖なる鹿殺しは、ホラージャンルの中でも日本っぽい、じわじわと恐怖心を煽る系のホラーだなと思った。
だから最後まで観れたってのもあるんですけどね。

ただ、その煽り方が尋常じゃない頻度なので、というかほぼ常に煽られっぱなしなので、そういうのいやだな〜(´・ω・`)って人にはおすすめしませんです。

不協和音というか、不穏なBGMがほとんど常に流れてます。

音響が人に与える効果ってすごいなって思ったよ。

でも怖いシーン(びっくり系とかスプラッタ)も特にないので、そういうシーンないなら観てみようかな?って思えるならいいと思う。

というか、そもそもホラー苦手なのにどーしてホラージャンルの映画選んだの〜?って話でもあるんですけど。
おっこれ気になるじゃん!ってなった映画のサムネイル画像、いざクリックして詳細見てみると高確率でジャンルがホラーなんだよ。仕方ないよ。

全体的にほの暗いお話

「鹿殺し」とかいうタイトルから薄々察しがつくように、この映画はほの暗いお話です。
鬱ジャンルともいうのか。

まず、エンディングはハッピーじゃありません。

ある意味ではハッピーといえるのかもしれないけど、私にいわせるならメリーバッドエンド…?

う~ん。でもメリバの定義としては「読者側から見たらバッドエンドだけど、作中の登場人物からすればハッピーなエンド」なので、メリバと表現するのも語弊がありまくる気がする。

なんとうか、後味の悪いお話です。
10を守るために仕方なく1を犠牲にした、とでもいったらいいのだろうか。

全体的にほの暗い話なので、救いがない話とか鬱々しい作品が好きな人は楽しめる映画だと思う。

鬱フリゲーとかをかつてプレイしまくったことがある人にはむしろおすすめしたいと思った。

そんな映画でした。

ざっくりした感想はこんなところです。

以下からはネタバレを含むのでご注意!

あらすじ

まずはざっくりとあらすじをば。

その前に、これまた3行であらすじをまとめると

  1. 酔っ払って手術したらうっかり失敗しちゃった!
  2. よくも失敗したな。お前の家族からも犠牲を出してもらう。
  3. 泣く泣く息子を犠牲にすることに…。

です。

こんなお話

主人公のスティーブン氏は、医者であり、家庭を持つお父さん。
彼がお酒を3杯だか飲んで、酔った状態でとある患者に手術を行った。
その結果、(案の定)ミスってしまい、患者を殺してしまった。そこから物語は始まる。

ちなみに、この部分が判明するのは物語の中盤の方です。

はじめは何が何だかわからないまま、手術のシーンから始まる。

それはさておき、あらすじの続き。

酔っ払い主人公に手術されて、命を落としてしまった患者。
その患者の息子、マーティン君が主人公の元に現れる。

はじめは仲良くやってるように見えたものの、マーティンの態度が馴れ馴れしい&しつこいと感じはじめた主人公が彼から距離を置こうとする。

そして、このあたりから、マーティンが本性を現しはじめる。

マーティンは主人公に

「あなたの家族のうち、誰か1人を選んで殺して。誰でもいいよ。でも選ばないと三人全員死ぬよ。はじめは全身麻痺、次に食事拒否、目から血、そして最後に死が訪れる。だから早く選んだ方がいいよ」

などと言いはじめる。

ここから、マーティンと主人公の中が悪化していきます。
そりゃあ、まあそうでしょうね。

主人公はマーティンのこの発言を、はじめは真に受けなかった。
まぁ彼は医者であるから、非科学的なことを真に受けられないのもあると思うんです。

でも、マーティンが予言した通りの症状が家族に現れ始める。
そして主人公は焦りはじめます。

それでも主人公は「何か原因があるはずだ。こんなのはおかしい。あいつ(マーティン)の言う事には耳を貸すな」って家族に主張し続ける。

でも、どんな検査をしても、医者のコネを使ってどんな医師に診てもらっても原因が分からない。

家族の病状は日に日に悪化していって、とうとう主人公の息子、ボブ君の目から流血がはじまる。

どうでもいいけど主人公の息子ボブ君の美少年っぷりがすさまじいので見どころとして書いておくね……いやほんとに。顔がいいよ。

主人公はマーティンに「止めろ!!」って詰め寄ったり怒鳴ったりもしたけど、マーティンは「そういうものだから止められないんだよね」の一点張り。

結局、お父さんは家族から一人を選ぶことはできず、かといってこのまま家族全員を見殺しにすることもできない。

なので最後はロシアンルーレット的に銃を乱射し、その結果、息子を殺すことになった。

そんなお話です。

ちなみにロシアンルーレット的に、というのは

  1. まず家族に目隠しをさせて、自分の周りに座らせる。
  2. 自分にも目隠しをする。
  3. そして銃を構えて、自分がぐるぐる回りながら銃を撃ち込んでいく。自分の目も見えない状態だから、どこに弾が撃ち込まれるかは完全にランダム。
  4. その弾に運悪く被弾したのが、息子のボブくんだった。

というやり方。

感想と考察

ジャンルにホラーって書いてあったし、曲がなんか不穏だし、しょっぱなからリアルな生の心臓ドクドクしてるとこをドアップで映されるしで、映画はじまった時点でもう私のSUN値はゼロだよ!(ホラー苦手)

そんなことはともかく、聖なる鹿殺しでわりと重要な立ち位置にいるマーティンについてもう少し詳しく書いておくと、

マーティンが必要以上に主人公に馴れ馴れしい態度を取ってきたのは、主人公が例の手術で患者を殺してしまったせい。
というのも、その患者というのは、マーティンの父親だったから。

ここらへんの情報は映画の中盤くらいで判明すること。

自分の父親を酔っ払い手術で殺されたと知っていたマーティンは、主人公に自分の父親になってもらおうと思ったとのこと。
だから、そのつもりで主人公の元へと現れた。

そんなわけだから、まるで家族みたいに馴れ馴れしい態度を主人公に対して取り始めた。

そんなマーティンの馴れ馴れしい態度をはじめは受け入れてたけど、次第にうっとうしく感じ始める主人公。

いよいよ主人公がマーティンを拒絶しだしたところで、マーティンは目的を変える。

つまり、マーティンは「主人公に自分の父親になってもらう」という目論みをやめて、
「自分は父を失った。だから、あなたの家族からも誰か一人犠牲になってもらう」という目論みへと目的を変えたわけです。

そのあとは、先に書いたあらすじの通り。

この映画、後ろで流されている曲が終始不協和音。常に不安を煽ってくる。

そんなわけなので、終始ビクビクしながら、時には画面隠しながら音だけで観たりもしたんですけど、結局血が出るシーンがあったのは

  • 最初の心臓の場面
  • マーティン(患者の息子)が手を噛みちぎる
  • ボブ(主人公の可愛い息子くん)の目から血

の3シーンくらい。

最後のロシアンルーレット射殺の場面は正直、自分の恐怖心がクライマックスだったので音だけ流してました(´・ω・`)

画面観てないから分からないけど、多分撃たれた時に血が出るかも?
けどそんなグロいとかスプラッタとかはないと思う。

後日談が存在している

それと、聖なる鹿殺しには実は後日談がある、と考えられる。

この話、実はギリシャ神話が題材になっているとのこと。

ギリシャ神話の、アガメムノンという人物の話。

映画本編の後日談として、そのギリシャ神話に基づいて、「愛する息子を殺された妻が夫を殺し、父を慕っていた娘が母を殺す」とされている。

さらに、その神話に基づくとしたら、最後に生き残った娘は、マーティン(医師である主人公が殺してしまった患者の息子)と結ばれるという結末が待ち構えている。

後日談としてこれが絶対起こることであるかどうかは分からないところですけど、もしそうだとしたら救いがないなぁ…って感じです。

まあ、映画のほの暗い雰囲気から考えたらあり得なくもない気がする。

題材になったギリシャ神話

聖なる鹿殺しの題材になったと囁かれているのは、ギリシャ神話のアガメムノンという男の話。

アガメムノンは、トロイア戦争という戦いの中で登場する、ギリシア軍の総大将。
つまり王さまです。

この神話の中で、アガメムノンは強欲で傲慢な人物として描写されているとのこと。

これを踏まえると、たしかに聖なる鹿殺しの主人公も「自分の家族を誰一人失いたくない」という点は、ある意味では「強欲」という解釈もできなくはないかなぁ…と。

というのも、他人の家族の一人の命を奪っておいて、自分の家族は誰一人として失いたくないわけですから。

でもある意味では人間として当たり前というか、仕方ない感情でもあると思う。だって他人は他人だし、家族は家族なわけで。

アガメムノンの神話

ギリシャ神話のアガメムノンの話をちょっと紹介しておきます。

このアガメムノン王、ギリシャ軍をひきいて、戦争でトロイという国を陥落させます。

そしてその戦利品(?)として、トロイ国の王女であるカッサンドラを捕虜として自分の国に連れ帰るのです。

しかし、帰国後、アガメムノン王は妻の愛人によって殺害されてしまう。
さらに、捕虜として連れ帰ったカッサンドラも、アガメムノンの妻によって殺害される。

このアガメムノン王と捕虜となった王女カッサンドラの殺害は、実はアガメムノンの妻による復讐劇なのです。

というのも、かつてアガメムノンは妻に嘘をついて自分の娘を戦争のために犠牲にした過去があります。
自分の娘を、神への捧げ物として生け贄にしちゃったのです。妻には承諾を得ずに。

戦争に勝つためなら娘であろうと犠牲はつきものだ!というアガメムノンと、
命は尊いものだ。だから戦争ごときのことで無駄にするのはよろしくないわ。という考え方のアガメムノンの妻なので、
そもそもの方針が違う。

だから勝手に娘を生け贄にされた妻が夫に対して恨みを持つのは当然っちゃ当然です。

娘を勝手に贄にされたことな対する復讐として、妻は夫であるアガメムノンを殺す計画を立ててました。
で、それをアガメムノンが帰国したタイミングで実行したわけです。

そして、まだこの話は続きがあります。

アガメムノンの殺害後、妻は自分の息子から距離を置くようになります。
距離を置くというか、冷たくあしらうようになります。

で、ある日そんな息子くんの元に父の亡霊が現れます。

その父の亡霊との接触がきっかけで、息子は自分の母へと復讐することを誓うのです。
それも、父を殺されたことに対する復讐です。

この部分が、この聖なる鹿殺しの後日談として考えられている部分です。

まとめてみる

ギリシャ神話では、

  • アガメムノン→娘を殺害
  • 妻の愛人→アガメムノンを殺害
  • 妻→捕虜となった王女を殺害
  • 息子→母親を殺害

となってます。

これが、この映画の後日談として

  • 主人公である父が息子くんを殺害
  • 息子を殺された妻が夫を殺害
  • 父を殺された娘が妻を殺害

ということが起こるのではないかと囁かれてるゆえんです。

参考リンク

アガメムノン王と彼の家族のお話については、このサイトさんが詳しいです。

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あとWikipediaも置いておきます。とりあえず。

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